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レーザー治療について
2023.12.25
レーザー治療について
西堀公治 先生
Jeisys Medical Japan株式会社のホームページをご覧いただきありがとうございます。
レーザー治療は、シミやアザ、ホクロの改善など様々な肌の悩みに対応している治療法です。また毛の根本まで熱を届けられるため、全身脱毛やひげ脱毛目的でレーザー治療を受けている方もいます。
しかし、レーザー治療は出力の強さによっては副作用のリスクがあるため、施術者は状況に応じた適切な判断力が必要です。
今回は西堀形成外科 院長 西堀公治先生に、レーザー治療の目的やリスクなどについて紹介していただきます。
【目次】
- レーザーとは【基礎編】(01:46~)
- レーザー治療の目的(11:31~)
- レーザーの副作用とリスク(13:34~)
- レーザー治療とは【臨床編】(19:41~)
1. レーザーとは【基礎編】(01:46~)
レーザーとは「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の略で、誘導放射による光の増幅のことを指します。
レーザーの種類は、アブレーシブレーザーと非アブレーシブレーザーの2つです。
アブレーシブレーザーとは皮膚の表面を削るレーザーで、CO2レーザーやフラクショナルレーザー、エルビウムレーザーなどが該当します。表皮を削って患部を取りのぞいたり、印象を若々しいものにする治療をしたりすることが可能です。
一方、非アブレーシブレーザーは皮膚を保護するレーザーです。トライビームやレーザートーニングなどが該当しますが、出力を上げるとアブレーシブレーザーになります。レーザーにはいろいろな種類があるため、どんな特性があるかを理解することが大切です。
非アブレーシブレーザーには、シミやアザの治療で使われるルビーレーザーや、色素レーザーなどがあります。
またレーザーの特徴は、波長を使って特定の皮膚層や症状に作用している点です。
フォトフェイシャル®(IPL)と似ていると言われますが、レーザーとフォトフェイシャル®は波長に違いがあります。
レーザーはスポットで強い波長を出力できるため、濃いシミの改善なども可能です。一方フォトフェイシャル®は弱い力ですべての波長を補うため、副作用は少ないですが、症状によっては効果が出にくい場合があります。
レーザー治療の説明でよく出てくるパルス幅には、ロングパルスとショートパルスがあります。
ロングパルスは、じっくりと皮膚に熱を加える方法です。毛根まで熱を届けられるため、脱毛治療で使われています。
一方、ショートパルスはすばやく熱を加える方法で、ナノ秒やピコ秒などとても短い時間で表面を照射するのが特徴です。
パルス幅の変更は、レーザーのエネルギーがどれくらいの時間、皮膚に送られるかを制御することをいいます。
2. レーザー治療の目的(11:31~)
レーザー治療の目的は下の通りです。
- 色素沈着の改善
- 皮膚の引き締め
- 皮膚の若返り
- 瘢痕の改善
- 毛の除去
治療の目的によって、対応できるレーザーの種類が変わります。
色素沈着の改善や皮膚の引き締めは、可視光線のレーザー(波長695㎚・755㎚)や赤外線レーザー(波長1,064㎚)などが効果的です。
毛の除去は、赤外線レーザーのダイオードやロングパルス(波長755㎚・1,064㎚)を使用すると効果が期待できます。また、CO2レーザーは水に反応するため、腫瘍の蒸散が可能です。
レーザーの波長は、皮膚の色によって効果が変わります。そのためアザの治療する場合は、アザの種類に合わせて波長を変えることが大切です。
- 赤アザ:585㎚~595㎚
- 青アザ:695㎚~755㎚、1,064㎚
- 茶アザ:695㎚
- 黒アザ:695㎚~755㎚
ホクロの治療は、エルビウムや炭酸ガスレーザーが対応しています。
3. レーザーの副作用とリスク(13:34~)
レーザー脱毛は、長期の合併症として色素沈着のリスクがあります。熱を強く入れすぎたり、波長が合わなかったりするとレーザーを当てた部分に色がついてしまうため注意しましょう。
また色素沈着とは反対に、レーザー脱毛で皮膚の色が白くなってしまう場合があります。
レーザー脱毛で出力や処置の判断を間違えた場合、瘢痕のリスクが高まります。レーザー治療で傷跡ができると訴訟などの大きな問題に発展するため、出力の強さは施術者が瞬時に判断することが大切です。
脱毛目的でレーザー治療を受けたのにも関わらず、逆に毛が濃くなってしまう場合があります。毛が濃くなる原因は波長やフルエンス、毛根の性質などさまざまな事情が考えられます。
誰でも発生する可能性があるため、患者さんには硬毛化のリスクを事前に説明しておきましょう。当院のレーザー脱毛で毛が濃くなった場合は、針脱毛で1本1本抜いています。
レーザーフェイシャルでは、治療後から顔全体に赤みやほてりが発生し、数日後には瞼が腫れてしまった症例がありました。この症例は光アレルギーが原因で起こった可能性があるため、問診で患者さんの症状やアレルギーについて確認することが大切です。
4. レーザー治療とは【臨床編】(19:41~)
ここからは、ジェイシス製品の特徴と症例について紹介します。
トライビームは、主に肝斑治療で使用している製品です。肝斑治療については以前から反対の意見も出ていますが、適切な方法で行えば症状の改善が期待できます。
以前はレーザー治療を1〜2週間に1回の間隔で行っていたため、メラニンが再構築されにくくなり、合併症のリスクが高くなっていました。
レーザー治療で肝斑の改善を目指す場合は、ビタミン剤やトラネキサム酸などを服用し、炎症が引いたタイミングで再照射しましょう。
トライビームは肝斑のほかに、色素斑やアトピー性皮膚炎が原因の色素沈着、入れ墨の改善に効果的です。レーザーのモードが切り替えられるため、中心の出力を強くしたり全体的に照射したりできます。
実際に、肝斑治療を1ヶ月に1回の間隔で計5回おこなった方は、肌が明るくなり色素斑が改善されました。
エリートIQは、長期的減毛を目的としたレーザー医療脱毛装置です。波長1,064㎚と755㎚の切り替えが可能で、最大24mmのスポットサイズを照射できます。また、フルエンスを最大600J/cm2まで出力できるのも特徴です。
エリートIQは皮膚のメラニン含有量を測定できる「スキンテル®」がついています。測定する部分にジェルを塗りスキンテル®を当てると、装置の画面にスキンタイプが表示されます。
エリートIQに情報を反映することで、フィッツパトリックスキンタイプを判定し、自動でレーザーの設定をする仕組みです。
動画では製品や症例について詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。